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2020.11.29書写パラパラアニメ実施報告

書写の道具でつくるパラパラアニメ(通称:書写パラ)を千葉市生涯学習センターで行いました。

新型コロナウイルス流行の影響で席数は通常の半分、抽選で小学生1年〜6年合計12名が集まりました。

書写パラは2017年に発表した動画作品「純然たり」をベースに考えたもので、2017年にななめな学校で初めて実施して以来内容を改善・変更しながら実施しています。

 

今回は感染症対策のため生徒間の共同作業を無くしました。

 

書写パラの概要

学校指定の書道セットとiPad(今回は生涯学習センターの貸し出し)を使います。

 

絵を描いて半紙をその上から重ねると下の絵が透けて見え、次のコマにスムーズに移行することができます。必要数描き終わったら、iPadで撮影し画像アプリから動きの確認をします。

 

普段字を書くことでしか使用機会のない書道セットを新たな表現手段として活用し、学校で教わる「正しい道具の使い方」から学校外での「たのしい道具の使い方」に認識をアップデートすることが目的です。これはタブレットやスマホにおいても同じで、普段は動画を見たりゲームをしたり受動的な側面の強い道具も、「自らの意思で創造的に使える」ということを伝えています。

 

既存の枠にとらわれずに道具を理解する力を育む場になればと考えています。

 

鉛筆などの書き味の安定した描画材と違って、コシのない毛筆は綺麗に描こうにもうまくコントロールできずに子供たちは四苦八苦。ある程度の思い切りと諦めがなければ次のコマに進めません。

 

筆が止まって滲んだ墨溜まり、学校で教わったであろう止め払い、筆先をねじったり切れ切れに描いたり。そのむず痒い使用感が何とも言えない味を引き出します。

 

「道具は完璧に使いこなせてこそ最上」ではないと私は思います。道具を理解する力とは、道具のもつ個性を柔軟に受け止め、適度にコントロールする力です。

 

綺麗に描けることがなぜか異常に賞賛される世の中に一石を投じられるのは、書道セット…だったりしたら面白いですね。

 

動物のうごきを観察してループアニメをつくろう

今回はこのような素体状の動物の動きを事前にiPadに保存し、一枚ずつ動きが確認できる様にしました。

低学年は見ながら描くことが難しい子もいるので、あらかじめ全てのコマをコピー用紙に印刷し紙の上に半紙を敷いて上からなぞるようにして描いてもらいました。

 

あくまで素体なので外側に肉付けの必要があります。各自思い思いの姿を想像して描き進めていました。

半紙の撮影には「CamScanner」というスキャンアプリを使用しています。

 

撮影角度で歪んでしまう画像を自動で補正・トリミングしてくれます。枚数の多いパラパラアニメを次々撮影することができ、アップデートしてもあまり仕様が変わらないところがお気に入りのアプリです。

 

アプリから撮影した画像をカメラロールに読み込み、サムネイルバーでパラパラしながら動きをチェックしていきます。

仕上げにAirDropで撮影した写真をまとめて私のPCに送り、Photoshopでループ動画としてつなげて完成です。
パソコンで編集する様子も画面に映し出して見てもらいました。

 

「ぼくのが、動くよ!みてて!」と低学年の男の子が目をキラキラさせてジャンプしていたのが印象的でした。

 

書写セットとタブレットに行き着いた経緯

「純然たり」の制作過程が書写パラのヒントになりました。

 

制作地は南房総で町おこしとして行われたアーティストインレジデンス。ホームセンターや画材店が近くになく、自分の専門である木版の道具を持ち込んでも大したものが出来ないと踏んで急遽映像を撮ることに。

 

ドローイング(線で描いた絵画)の要素を取り入れたかったので、手元にあった画材・ノートPC・カメラ・スマホでなにか出来ないかと考えながらiPhoneをいじっていたところ、カメラロールの下に出るサムネイルのバーを左右に動かした時画像が素早く切り替わることに気づきました。

手元には普段使っている下絵用の半紙と墨と筆があり、半紙が透けるのでオニオンスキンの要領でパラパラアニメがいけるかなと・・・。


カメラロールのお陰で、1コマづつPCに取り込んで確認のためにわざわざ動画にする手間も省けてしまいました。(iphoneがさらなるアップデートをした時にこのロールがなくなってしまう可能性は無きにしも非ずですが)

敬愛する巨匠サイ・トゥオンブリー※の精神に乗っ取って、選ぶ道具は「ミニマルでどこにでも手に入るありふれたもの」をいつも意識してきましたが、なかなかこの作業工程は単純で気に入っています。※トゥオンブリーの選ぶ画材はペンキ等ほぼホームセンターで安価に手に入るものでした。

あるものなんでも使って可能性を探る楽しさも創作の醍醐味!

 

今後もさらに内容を充実させて新たな展開を考えたいと思います。手軽にできるので、是非お家などで試してみてくださいね!