最近、企業の広告担当者さん手作りのチラシやポスターを目にする機会があります。
予算がなくて広告代理店に依頼できず、でも必要!それもなる早(なるべく早く)で!との社内からのお達しで、プロじゃないのに〜と涙目でパソコンに向かう広告担当者さんも少なくないのではないでしょうか。
そこで、ちょっとした内容のものでも意外に頭を悩ます「色指定」についての時短ノウハウをご紹介します。
とにかくこのスウォッチ(カラーパレット)を最初に作ってしまえば、いつでも調和の取れた色使いのデザインが簡単に作れると思います。
私のデジタルワークは1990年にMacintosh Ⅱcx・19インチカラーモニター・OKIモノクロレーザープリンター・Adobe illustrator 3.0日本語版・QuarkXPress日本語版・Adobe Photoshop日本語版一式(当時新車のベンツを1台買うような価格)を清水買いしたのが始まりでした。
まずイラレを使い始めて感激したのが、 当時のイラレにデフォルトで付いていたこのスウォッチ!
(今のイラレはWEB用のスウォッチが主流で、残念ながらコレはありません。)
何てシンプル!
色がごちゃごちゃ入ってるだけじゃん?
と思われるかもしれませんが、これ、実はすごくきっちり法則があるんです。
印刷物は通常CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色のインキのパーセントの組み合わせで表現されるのですが、トータルで300パーセントを超えなければ際限なく色指定できちゃうのです。
たとえば
C(シアン)36%+M(マゼンタ)14%+Y(イエロー)38%+K(ブラック)23%でこんな感じ。
じゃあ、この色に合う他の色も考えないと、カラーの印刷物のデザインになりません。
適当でイイか?なんて、闇雲に色を入れていったらアッという間にグチャグチャデザインのできあがりです。
今って、カラーチャートからスポイトで適当に色を吸い取って、何の法則も作らずに組み合わせたりしていませんか?
家のインテリアとかに置き変えて考えた場合、たまたま見かけた素敵な家具を無計画に衝動買いすると、ナチュラルな白木やクラシカルなダークブラウン、かわいいパステルピンクやモダンな黒がそれぞれ主張し合って統一感のない部屋になってしまったりします。
広告などの紙面もそれと同じなのです。
そこでオススメするのがコレ!
まず、基本となるカラーを100%からと50%から4分割していきます。
この3カラーを掛け合わせて多色展開していきます。
金赤の場合は、M(マゼンタ)もY(イエロー)も100%からスタートして徐々に75%→50%→25%と薄くします。
オレンジの場合はM(マゼンタ)の始まりが50%からなので、50%→37.5%→25%→12.5%と薄くします。
みごとに単純な法則で全ての色が作られています。
C(シアン)36%+M(マゼンタ)14%+Y(イエロー)38%+K(ブラック)23%のような中途半端な数字の組み合わせはありません。
徹底的に単純な色の掛け合わせなのでとても秩序があり、この法則さえ守ればカラフルなデザインにしても「統一感」が生まれるのです。
これらの色にK(ブラック)をそれぞれ20%・15%・10%・5%足してあげるともう少し落ち着いたシックなカラーに統一されます。
例えば基準となるCMYにKを足してみると
って感じでしょうか。
ちょっと、WEB上のモニター画面での色なので印刷物の色とは違いますがイメージしてみてください。
とにかく秩序を守ることが大事です。
同じ紙面の中にK(ブラック)を足した色と足していない色を混在させてしまったりすると、すぐに調和が取れなくなってしまいます。
このことさえ守っていれば、全体に調和の取れたきれいな紙面が作れるし、何しろ色使いに迷わなくてすむので時短効果があります。
「なる早で!!」なんて言われたときにありがたみを感じること間違いなし!
余談ですが、すごくカラフルなものは別として、普通のデザインのものでしたら上記パレットの中から4色(例えば赤・青・オレンジ・黄緑)しか使わなくても、それぞれ4分割するからトータル16色の色展開ができるので、そのくらいに抑えた方が落ち着いたデザインに見えます。ご参考まで。
ぜひお試しください。
Mac用ですが上記イラレスウォッチをご用意しました。
※Mac OS9時代のillustrator5のスウォッチを新しいイラレデータに書き換えながらずっと使い続けています。これは取り合えずCS2まで落としてあります。
Windowsのイラレで使えるかどうかは未検証です。
私の場合のスウォッチルートは以下です。
アプリケーション>Adobe illustrator>プリセット>jp_JP>スウォッチ>初期設定スウォッチ>HANIWA初期設定.ai
スウォッチオプションの「スウォッチライブラリを開く」の中の「初期設定スウォッチ」に入りますので、それを「ユーザー定義」でイラレを開いたときに一緒に開くように登録してあります。
ご自分のイラレバージョンに合わせた設置をしてくださいね。